どうすればなれるんだろう#
おそらく、これを読んでいるほとんどの人が、自分がなれるわけないと思っているのではないだろうか。現在戸田市で2期目の市長を務める菅原文仁さん。戸田市庁舎の会議室に颯爽と現れた彼は、ホームページの写真そのままにエナジーあふれる好青年(失礼)という印象で、なるほどこれは応援したくなるなと思わせる。
2005年29歳で戸田市議会議員に初当選。2期つとめたのちに埼玉県議会議員を2期、そして2018年3月戸田市長にと、とんとん拍子に政治家としてのキャリアを重ねている。
伊奈学を選んだのは「スキー部があったから」という菅原さん。少々驚きの志望理由だが、実はここに、今につながる運命の出会いがあるからさらに驚く。スキー部の創設者は、現在国会議員として活躍する中根一幸さん(伊奈学2期生)なのだ。高校在学中からすでに選挙の話や政治の話に触れ、部の先輩と演説の応援にも行っていたという菅原さん。つまり、その時点で『政治家』という存在を身近に感じていたことになる。
その後、「父が体育の教員をしていたから」と、体育大に入り教員免許を取得するも教員にはならず、起業し地元で高齢者や子どもに体操を教えていた。そんなとき、市議会議員の枠が空き、候補者探しをしているという情報が耳に入ってくる。
「前から思ってたんです。教員は学校だけだけど、政治家ならもっと広いところで活動できる。教育を良くしたい。世の中をもっと良くしていきたい。自分ならひょっとしてそれができるのではないかって」
ふと中根先輩のことを思い出し、相談しにいった。自分のように地盤もコネもお金もないところから選挙に当選することができるのかと。
「選挙の応援に行ったときから、かっこいいと思ってたんです。若い世代で政治に参加するってすごいなって」
本当にやりたい仕事はこれだった。見事初当選。本当にいろいろな人に応援してもらって…、と当時を思い出しつぶやいた。
地道で泥臭い選挙活動が
とてつもない達成感に#
さて、選挙ってどうやったら当選できるのだろう。
「どれだけ応援してもらえるかです。そのために毎日駅前に立ちチラシを配り、一軒一軒お宅を訪問して自分の思いや考えを伝えます。
ひたすらその繰り返し。本当に地道な活動なんですけど、でもこれしかないんです」と菅原さんはいう。
皆さんも目にしたことがあるだろう。駅前での街頭演説やチラシ配り。「ジャマだなぁ」「うるさいなぁ」そんな風に思っている人も少なくないのではないか。しかしそんな泥臭く地道な活動こそが、自分の考える理想の社会、より良い社会をつくっていく第一歩なのだと菅原さんはいう。
やはり政治家への道のりはそんなに甘くない。しかし、それくらいの気概を持った人でないと自分たちの生活を任せる気にはなれないというのも、また本音ではないだろうか。
「首長という立場は責任の重さはありますが、そのかわりやりがいもものすごいです」
自分の理想を具現化できる究極の職業と考えると、その達成感がとてつもないことが想像できるだろう。
365日首長である覚悟
心身のタフさが必要#
では首長に必要な資質とはなんだろう。菅原さんはまず『タフであること』と言った。
議員時代を経て市長(首長)になった菅原さんの感じたひとつが、首長は”365日”首長である、ということだ。特別職の市長に休日はほぼない。
「心身ともにタフじゃないとやっていけないですね。首長という職務に「身を投じる」覚悟が必要です。もちろん健康には気をつけていますし、早朝のランニングは気分転換も兼ねてるんで…。でも正直、疲れた顔はみせられないというプレッシャーはあります(笑)」
そして『バランス感覚』。意見が対立したとき、双方を納得させられる説明ができること。答えを出すのに全部自分でやろうと思わず、周囲に調査を振り分けることができること。
最後に「でも一番は『人間性』だと思います。僕もまだまだですが」と付け加えた。
菅原さんの話で、もしかしたら「ちょっと面白そうだな」「チャレンジしてみようかな」と思ってくれる人が潜在的にいるのでは、と我々は思った。面白いという表現は適切ではないかもしれないが、しかし私たちはこれまであまりにも政治をタブー視しすぎていたのではないだろうか。政治=自分たちの生活なのだ。そこを良くしよう、自分の思いを形にしようと思うのは決して悪いことではない。
「伊奈学出身の首長がもっと増えてほしいですね。埼玉県の各市町村にいたら素敵じゃないですか」
菅原さんの発想は、どこまでもパワフルだ。
お仕事DATA
就活
自分と自分の思いをできるだけ多くの人に知らせる活動が必要。経歴は人それぞれ。
実際
任期は1期4年。公約の実現には職員をいかに動かすかもポイントに。
就活
常にその立場で物事を考え続けられる覚悟が必要。そのなかでうまく気分転換を図る工夫も大事に。
Profile
菅原 文仁【8期・人文系/スキー部】
すがわら ふみひと
1975年生まれ。戸田市立美笹中学校卒業。
高校時代は「正直あまり真面目じゃなかった」と語る。日本体育大学在学中に起業したのち政治の道へ。道満グリーンパークでの毎朝5キロのランニングと家族との時間が貴重なリフレッシュタイム。


